関節リウマチ

関節リウマチの診断と治療についてご説明します。

1. 関節リウマチとはどんな病気?

関節リウマチは全身の多くの関節に炎症が起きて痛みや腫れを生じる病気です。関節炎が進むと関節が変形し破壊され、関節の機能が失われ、手や足が使えなくなることもあります。15パーセントの患者様は身体障害になってしまうとされています。
以前リウマチは不治の病との認識がありました。しかし最近、生物学的製剤という新しい薬が出てきたことによりリウマチの治療法は一変しました。最近では関節破壊を止めることができる良い薬がいろいろ出てきており、今までの薬では不可能だった関節破壊が止められるようになってきました。またさらにリウマチをほとんど治った状態(寛解)にすることができるようになってきています。

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2. 関節リウマチの原因

関節リウマチの原因として、免疫異常があることが知られています。免疫とは細菌などの外敵が侵入したときにこれに対抗する抗体を作って体を守る防御システムです。この抗体が自分の組織に対してできてしまい、自分の体の細胞を攻撃したり、炎症を引き起こしたりします。関節リウマチでは免疫がはたらき、関節のなかにある「滑膜」という組織に炎症を起こします。

免疫とは?

免疫とは、体の外から侵入する異物や細菌に対して、これに対抗する抗体を作って体を守る防御システムです。細菌が体に侵入すると免疫がはたらき、速やかにこの細菌に対抗する抗体がつくられ、抗体は細菌に対して攻撃をおこないます。つまり抗体は日本国でいえば自衛隊のようなものです。

関節リウマチでの免疫異常

関節リウマチの大きな病気の原因の一つとして免疫異常があります。細菌のような小さな外敵から体を守る上で抗体は強力な武器となりますが、関節リウマチなどの膠原病では抗体が自分の体の細胞に対して作られてしまいます。
正常の免疫システムでは、自分の細胞以外の外から侵入してきた異物のみを外敵と認識しますが、膠原病では自分の組織を敵と勘違いします。結果として自分の組織に対する抗体、自己抗体が産生されます。自己抗体は自分の体を攻撃します。さらに自己抗体は自己抗原と結合し、免疫複合体となって各種炎症性の成分を放出させます。
簡単に言うと国の軍隊が「外敵」にではなく、「自国民」に対して攻撃するようなものです。
リウマチでは炎症性の成分は主に関節内に放出され、関節に炎症をおこさせ、炎症により関節の軟骨、骨が破壊されていきます。

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3. 関節リウマチの症状

1. 朝のこわばり

リウマチの初期に最も多い症状です。朝起きた直後に体のふしぶしがこわばって動かせない、手指がこわばって動かしにくいという症状です。

2. 関節の痛み、腫れ

リウマチでは関節に炎症が起こります。このため関節に痛みと腫れが生じます。もっとも炎症が起こりやすい関節は、手指の第2関節(近位指節関節と呼びます)や指の付け根の関節(中手指節関節)、手首の関節(手関節)、足趾です。このほか全身の関節どこでも炎症は起こりえます。
リウマチの特徴の一つが両側、左右対称に病変が存在することです。また手指の第1関節が侵されることはまれで、通常手指の第1関節の変形は「ヘバーデン結節」と呼ばれリウマチとは関連がありません。

3. 関節の変形、機能障害

関節の炎症により関節の破壊が進行すると変形したり脱臼したりし、関節の動きも悪くなります。手指の変形が強くなれば、家事などができなくなったり、下肢の関節が障害されれば歩行できなくなったりします。

4. 全身に現れる症状

微熱、脱力感、筋肉痛

5. 皮下結節

肘や膝など骨が突出し物にあたりやすい場所に小さなコブのような固いものができることがあります。「リウマトイド結節」と呼びます。

6. 皮下結節

炎症があると貧血も悪化します。

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4. 関節リウマチの診断

関節リウマチの診断は、関節の症状、血液検査、X線検査の結果から総合的になされます。血液検査でリウマチ因子が陽性だからといってそれだけでリウマチであるとはいえません。また逆にリウマチ因子が陰性のリウマチ患者様もいらっしゃいます。
関節リウマチには診断基準があり、明確にリウマチと診断するにはこの基準の7項目のうち4項目以上あてはまる必要があります。この基準に従えば、世界どこにいってもリウマチの診断は同じとなっています(他の病気の診断基準は必ずしも世界共通ではありません)。
しかしその一方、やや厳格すぎるきらいがあり、リウマチと診断がつくまで1年以上かかることもあり、早期治療を逃してしまう可能性があります。そしてその間に関節破壊が進行してしまうこともあります。
このことにより、リウマチと確定診断がつかなくても、少しゆるい基準でリウマチを早めに疑い治療を始めることも多くなっています。このための早期リウマチの診断基準というものも提唱されていますが、実際に早期リウマチという病気が存在しているわけではないので、提唱している団体により基準には多少の違いがあります。これらの基準を使用した場合には実際にはリウマチでないものも早期リウマチとして診断され治療が始められることもありえます。

【関節リウマチの診断基準】

1. 朝のこわばり
少なくても1時間以上持続する
2. 3領域以上の関節の腫張
関節領域とは手関節、手指の第2関節(近位指節関節)、手指の付け根の関節(中手指節関節)、肘関節、膝関節、足関節、足趾の付け根の関節(中足趾節関節)の14箇所
3. 手の関節炎
手関節、手指の第2関節(近位指節関節)、手指の付け根の関節(中手指節関節)の1箇所以上に腫張
4. 対称性の関節炎
対称性に関節炎が認められること
5. リウマトイド結節
6. リウマトイド因子
血液検査でリウマトイド因子が陽性
7. 手、指のX線像の変化
X線で手首や指の関節にリウマチの変化

7項目のうち4項目をみたすものを関節リウマチとする。1から4の項目は6週間以上持続すること。

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5. 関節リウマチの経過

1. 短周期型

全体の約20パーセント
リウマチの症状が急激におこりますが治療に反応しよくなってしまうものです。

2. 多周期寛解型

全体の約40パーセント
何度か良くなったり悪くなったりを繰り返しますが、最終的に治療に反応してリウマチの活動性は低下します。

3. 多周期増悪型

全体の約30パーセント
多周期寛解型のように何度か良くなったり悪くなったりを繰り返しますが、治療に抵抗し、経過の間に関節破壊は進行しリウマチは悪化します。

4. 進行増悪型

全体の約10パーセント
治療に反応せずどんどん悪くなり身体障害に至るタイプです。中には発症から急激に進行し、1年から2年の間に日常生活の機能がほとんど失われてしまう例もあります。このようなタイプでは早期から積極的な治療をすることが必要で、早い時期からの生物製剤の使用が推奨されます。また関節のまわりの骨がどんどん壊れてぶらぶらになったり、関節がはずれてしまうムチランスと呼ばれるタイプもあります。

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6. 関節リウマチの治療

治療の目標

炎症による関節や骨の破壊をできるだけ防止して機能を維持し、生活の質を落とさないことにあります。リウマチの病勢をコントロールするためにはまず薬物療法がもっとも重要となります。
しかしいくら薬物療法を頑張っても、関節の炎症が続き関節の変形、破壊が起こることがあります。このようなときには手術療法で人工関節手術などがおこなわれます。

最近の治療法の変化

前に述べたように、リウマチ治療の考え方は最近大きく変わってきました。以前は炎症や痛みを抑えることが治療の主な目標でした。しかし最近は抗リウマチ薬を早期から積極的に使用し、リウマチの寛解を目標とすることも現実的となってきています。
またさらに、生物製剤により関節破壊を止めるという目標を掲げることもできるようになってきました。

薬物療法

リウマチの治療には非ステロイド抗炎症剤、ステロイド剤、抗リウマチ薬が使われます。また最近出てきてリウマチ治療を劇的に変える効果が期待されている生物学的製剤があります。

【抗リウマチ薬の特徴】

  1. 効果が出るまでに3ヶ月から4ヶ月かかる。
  2. 早期から活動性のリウマチに使用すると効果が高い。
  3. 薬との相性がある。薬により反応する例としない例がある。
  4. なかでもメソトレキセート(リウマトレックス)がもっとも中心的な薬である。
  5. 関節破壊の進行を遅らせる効果がある。
  6. 長期使用で効果が減弱または消失することがある(エスケープ現象)。このときには薬の切り替えが必要。
  7. 十分な効果があれば減量も可能。
  8. 2者、3者を併用して使用することもあり。
  9. ときに重篤な副作用あり。
  10. 非ステロイド抗炎症剤と併用
    通常痛み止めとして使われている薬ですが、関節の炎症を抑え痛みを軽くする効果があり、リウマチでは最初から使われます。
抗リウマチ薬の種類
薬の種類 一般名 製品名
免疫調整薬 金チオリンゴ酸ナトリウム シオゾール
ブシラミン リマチル
サラゾスルファピリジン アザルフィジンEN
オーラノフィン リドーラ
D-ペニシラミン メタルカプターゼ
ロベンザリッド カルフェニール
アクタリット モーバー、オークル
免疫抑制薬 メソトレキセート リウマトレックス
ミゾリピン ブレディニン
レフルノミド アラバ
タクロリムス プログラフ

【生物学的製剤】

最近"生物学的製剤"という新しい薬が出てきたことにより、リウマチの治療は一変しました。今までの薬では不可能だった関節破壊が止められるようになったからです。生物学的製剤の有効率は高く、今までの薬では難しかった寛解が現実的な目標となったこと、また関節破壊を止められることが大きな特徴となっています。

生物学的製剤とは、生物が作り出したタンパク質を利用した薬ということです。リウマチでは関節の中に滑膜という組織が増え、サイトカインという物質を大量に放出し関節の腫れ、痛み、骨軟骨の破壊、免疫異常などを起こします。リウマチでの生物学的製剤はこの炎症性サイトカインを標的とします。リウマチの炎症を引き起こすサイトカインとして最も重要なものは、TNF-α(アルファ)、IL-1、IL-6などと呼ばれるものです。この炎症性サイトカインが悪さをする前に捕獲してしまおうというものが、抗サイトカイン抗体です。これには現在のところ、抗TNF-α(アルファ)-抗体、抗IL-6抗体があります。

生物製剤をはじめるにあたって、最大の問題点はコストが高いことと、副作用です。副作用については中には重篤なものもありますが、他の抗リウマチ剤と比べ副作用の出現率が特別に高いというわけではありません。しかし開始するにあたっては結核や感染症がないか確認する必要があります。
また治療コストは高く、健康保険を使っても一般の方ではかなりの負担になります。しかし一度壊れた関節はもう元に戻りません。関節がどんどん壊れていくような患者様では、膝、股関節などが破壊され歩行できなくなります。仕事ができなくなる、日常生活が困難になるなどの社会的な損失も計り知れませんし、破壊された関節機能を再建するためには手術が必要となります。人工関節手術の場合には自己負担金も大きくなります。リウマチではできるだけ関節を壊さないようにした方が結果的にはよいのです。

リウマチの活動性が高いと1年から2年の間に急激に関節破壊が進むことが知られています。生物製剤には副作用、高価であるというデメリットもありますが、炎症が強いなら早めに生物製剤を使用することが勧められます。

生物学的製剤の種類
薬の種類 一般名 製品名
生物学的製剤 抗TNF-α(アルファ)-抗体 インフリキシマブ レミケード
エタネルセプト エンブレル
抗IL-6抗体 トシリズマブ アクテムラ

【手術療法】

薬物療法をおこなっても局所的に滑膜炎や関節破壊が進行することがあります。このようなときに手術療法がおこなわれます。

滑膜切除術
炎症の源となる関節局所の増殖、肥厚した滑膜をできるだけ取り除きます。これにより関節の腫張、疼痛がとれ、関節破壊も一時的に止まり、短期での成績は良好です。滑膜切除の効果2年もしくは3年から10年程度継続しますが、長期になるとその効果は消失していきます。
関節固定術
関節を固定してしまう手術です。除痛効果はきわめて高いのですが、関節は動かなくなります。主に手関節、足関節、指関節などにおこなわれます。股関節、膝関節、肘関節など固定すると日常生活をおこなうのに不便となる関節には通常は人工関節をおこないます。
人工関節
壊れた関節を人工の関節に置換し関節の機能を再建する手術です。疼痛がとれ、関節も動かせるようになり、日常生活動作ができるようになり生活の質も向上します。成績は良好ですが、関節が壊れたり緩んだり、ばい菌がついたりなどの合併症もあります。主に膝関節、股関節、肘関節、肩関節、足関節におこなわれます。

【薬と副作用】

抗リウマチ薬、生物製剤では重篤な副作用がおきることもあります。しかし副作用を恐れるあまりに適切な時期に適切な薬を使わないと、関節破壊が進行し深刻な機能障害が残ってしまうことになります。
ご自身で副作用の知識を充分持ちながら、抗リウマチ薬とうまく付き合うことが必要です。

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7. 付録

寛解とは?

普通「病気が治った」「治癒した」というときには、「病気の症状と原因が体から消失」したことを意味します。一方、「病気の原因は体に残っているけれども症状がほぼなくなっている状態」を「寛解」といいます。
関節リウマチでは、完治する患者様は少ないと考えられています。この理由は、リウマチ発病のメカニズムに免疫異常がありますので、この免疫異常を正常にもどすことは難しいからです。
しかし最近良い薬が出てきたため、リウマチの症状を押さえ込み、まったく治ったような状態、すなわち「寛解」にまですることができるようになってきています。
5、6年前まではリウマチでの寛解という目標はハードルがあまりにも高すぎるように考えられていましたが、最新の治療ではこの「寛解」を目標とすることができるようになってきています。

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前十字靭帯再建術