医学の進歩は、基礎研究による治療や診断の進歩なくしては語れません。腫瘍医学研究所は腫瘍の原因や治療法の研究、再生医療分野の研究もおこなっている、民間病院としてはめずらしい施設です。
病理診断業務(人体から採取された材料を顕微鏡で観察し病変部の診断をおこなうこと)や、病理解剖(臨床診断の妥当性、治療効果の判定、死因の解明)をおこなっています。臨床医、病理医、研修医等が参加して定期的に臨床病理検討会をおこない、その議論や反省を通じて疾患の理解を深め適切な診断法や治療法の参考としています。
また、がん免疫療法のための樹状細胞や活性化リンパ球の培養を Cell Processing Center 内でおこなっています。その他、学会発表や論文作成の補助を大学と連携してすすめています。再生医療分野での研究についても当院歯科口腔外科との共同研究をすすめています。
「医療は病院で、研究は大学や研究所で」という分離した考え方もあります。しかし当院では、"基礎研究に裏打ちされた臨床に役立つ確かな臨床医療の実践"をおこなうことが重要と考えています。
当施設では大学の研究室と同レベルの充実した設備を配し、専門研究員が日々研究を続けています。臨床面では手術後の脳腫瘍の的確な診断をおこない、基礎研究では分子生物学的方法で新たな脳腫瘍の治療法の開発に取り組んでいます。
おもに病理診断のための病理標本の作成や、個々の患者様に最適な抗がん剤を選択できるよう投与前の抗がん剤の感受性を調べる研究、新しい抗がん剤の基礎的研究を大学と共同でおこなっています。
さらに、これらの研究が再生医療分野へも発展しています。再生医療とは、自身の細胞を大量に増殖させて、その細胞から細胞や臓器を作りだしてこわれた部分を補える-という夢の医療で、近年世界中で注目を浴びています。
当施設では現在、角膜などをはじめとした眼組織再生についての研究、ならびに歯槽骨再生についての技術提供を大学とともに進めています。そのために無菌状態で移植する細胞(幹細胞)を培養する細胞工学のための施設(CPC:Cell Processing Center)も完備しています。再生医療への期待は大きく、今後の医療におけるキーワードとなっていくと思われます。当院ではこのような基礎的研究から臨床的応用を結びつける研究が、将来の医学、医療の発展に大きく貢献するものであろうと考えています。