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鴫原医師の論文「高齢者における認知機能と水分摂取の関係」が国際医 学雑誌『PLOS One』に掲載されました

2025年10月07日|プレスリリース
2025年7月3日
社会医療法人北斗

 

社会医療法人北斗 鴫原医師の論文「高齢者における認知機能と水分摂取の関係」が国際医学雑誌『PLOSOne』に掲載される

概要

認知機能の低下は、高齢者の暮らしにおいて重要な問題の一つです。認知機能の低下の最大の原因とされるアルツハイマー病などの脳の病気は、ゆっくり進行する性質があり、根本的には治療が難しいため、「いったん認知機能が悪くなると、どうしもようもない」という誤解をされている方が多くいらっしゃいます。しかし実際には、生活改善などを通じて、認知機能を維持したり、ある程度の回復がみられることは、よくあることです。そのような、認知機能に良い影響を与える生活習慣の一つとして、「十分な量の水分摂取」が推奨されています[1,2]。一般に高齢者は水分摂取が足りない傾向があり、夏場に限らず多くの方が、気づかぬ間に慢性的な脱水状態になっています[3]。このことが脳のはたらきを悪くし、その結果として認知機能が十分に発揮できていない状態にあるのだろうと考えられています。そのため十分な水分を摂取すれば、脳が十分働くことができるようになり、認知機能も良くなるという訳です。

しかし、本当に水分をしっかり摂ることが、認知機能を良くするのかを調べた研究はほとんどなく、また仮に水分摂取が認知機能をよくするとしても、その仕組みはどうなっているのか、また最適な水分摂取量はどのくらいなのかもはっきりしていませんでした。

そこで私たちは、北斗グループの介護老人保健施設「かけはし」に入所された33人の入所者さまにご協力いただき、(1)日々の水分摂取量と、(2)認知機能の変化と、(3)脳内の血の流れの関係を調べさせていただきました。

平均3か月の調査期間の間で、33人中12人で心理検査(MMSE-J)の点数に改善が見られ、認知機能の改善が示唆されました。また体脂肪率を考慮した体重(徐脂肪体重)あたりの平均水分摂取量が多いほど心理検査の点数の上りが良いものの、極端に多すぎると逆に点数が下がる(図1)こと、一番点数の上りの良い水分摂取量(最適値)は、平均的な体形(体重50kg;徐脂肪体重35kg)の場合で、一日当たり1.5リットル位であることも分かりました。さらに、水分摂取量が多い人は、脳内の血管が膨らみ、血液の流れが良くなっていることも分かりました(図2)。

これらのことから、(1)確かにしっかりと水分を摂ることが、認知機能の改善につながること、(2)その理由は、脳内の血液の流れが良くなることに関係していることが明らかになりました。ただ極端な飲みすぎは良くないことも示唆されたので、特に心臓や腎臓などに持病がある人は、主治医と相談しながらしっかり水分を摂るべきでしょう。水分摂取は簡単に誰でもできる、認知機能の改善方法です。是非日常生活に取り入れてほしいと思います。

参考文献

1. Li S, Xiao X, Zhang X. Hydration status in older adults: current knowledge and future challenges. Nutrients. 2023 Jun 1;15(11).
2. EFSA Panel on Dietetic Products Nutrition and Allergic (NDA) Scientific Opinion on Dietary reference values for water/European Food Safety Authority. EFSA J. 2010;8(48).
3. Stookey JD, Pieper CF, Cohen HJ. Is the prevalence of dehydration among community-dwelling older adults really low? Informing current debate over the fluid recommendation for adults aged 70+years. Public Health Nutr. 2005 Dec;8(8):1275–85.

掲載URL

https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0333793

社会医療法人 北斗について

北斗は、1993年に帯広市で脳神経外科を中心に、北斗病院を開設。道東・十勝圏域において急性期から在宅医療まで、シームレスに医療・介護を提供しています。「革新に満ちた医療への挑戦と新たなる組織価値の創造」を理念に、高度先進医療への取り組みも積極的で、デジタルPET-CT や経頭蓋MR ガイド下集束超音波治療、遺伝子診断など、さまざまな技術を取り入れています。脳磁計測システムは2004年に導入。最近は海外から脳磁計の専門家の参画を実現し、精力的な運用を行っています。また医療界における新しい潮流である「精密医療」を新たなテーマとして掲げ、患者一人ひとりに最適な治療を、効率的に選択するために、遺伝子診断や脳磁計を含む脳機能画像イメージングを応用することに注力しています。2013年には十勝地方のリハビリテーション担う十勝リハビリテーションセンターを開設。リハビリテーションスタッフ・看護師を始め全ての職員がチーム一丸で患者に寄り添うリハビリを提供。更にはロボットや電気刺激装置、磁気刺激装置を使用した最先端のリハビリテーションを実践しています。詳しい情報は、こちらをご覧ください。

本件に関するお問い合わせ先

社会医療法人北斗 北斗病院 精密医療センター TEL:0155-48-8000
 
プレスリリース:高齢者における認知機能と水分摂取の関係【Effect of fluid intake on cognitive function in older individuals: A prospective study】が国際科学雑誌PLOS Oneに掲載(PDF形式)

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