当院における喉頭がんの臨床的検討とPIK3CA遺伝子変異が予後に関連している」という題名の論文が国際医学雑誌Molecular and Clinical Oncology誌に英文で掲載されました。
概要
坂東伸幸医師を中心とした北斗病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科、頭頸部腫瘍センター、腫瘍医学研究所との合同チームにおいて喉頭がんに関する臨床研究をおこなったのでその結果を報告しました。喉頭がんは全国平均で人口10万人に3.4人に発生するがんで、長年の喫煙が深く関与していると言われています。喉頭がんの患者さんの病歴を調査すると97%の患者さんに喫煙歴がありました。よって、喫煙しなければ最も予防しやすいがんと言えます。
早期喉頭がんであれば、当院で使用しているTomoTherapyという最新の強度変調放射線治療機器で放射線治療をおこなうとほぼ完治します。進行喉頭がんであれば、声帯を失いますが喉頭全摘術とういう手術をおこないます。累積5年疾患特異的生存率が91.4%、喉頭温存率が67.5%と他施設の治療成績と遜色ない結果が得られました。また、喉頭がん患者さんの中で命を落としている方は喉頭がん自体よりも、肺がんや消化器系がんが原因で亡くなることが多く、より一層、禁煙の重要性が指摘できます。
北斗病院では2016年から次世代シーケンサーを用いた網羅的がん遺伝子パネル検査おこなっており、データが多く集まっています。今回、PIK3CA遺伝子とういう遺伝子に変異があると放射線が効きにくく、喉頭がんが再発し、予後不良との結果が得られました。この結果はこれまで世界的にもほとんど報告されていないため、極めて貴重な知見と思われます。
臨床研究に加わって頂いた患者様にはこの場を借りて感謝申し上げます。北斗病院ではこれからもPETがんドック、がん遺伝子パネル検査、TomoTherapyなど最新の診断、治療機器を用いてがんの早期発見と負担の少ないオーダーメイドの治療を目指していきます。
掲載URL
A retrospective study of laryngeal squamous cell carcinoma and the significance of the PIK3CA mutation for survival
https://www.spandidos-publications.com/10.3892/mco.2025.2882
本件に関するお問い合わせ先
社会医療法人北斗 北斗病院
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