中枢神経は脳と脊髄に分類されます。脊椎・脊髄は神経が圧迫されたり、神経自体が変性・腫瘍化して障害を呈します。神経を圧迫するものとして、椎間板の突出(ヘルニア)、後縦靱帯や黄色靱帯の肥厚・骨化によるもの、腫瘍(硬膜から発生する髄膜腫)などがあります。また、神経からの腫瘍として神経鞘腫があります。いずれも神経線維が圧迫されて、運動機能の麻痺や、痛みや痺れなどの感覚障害、膀胱直腸障害などの神経症状がみられます。
MRIによる椎間板ヘルニアの検査画像と治療適応
脊椎・脊髄疾患に対する主な検査方法は、MRI(Magnetic Resonance Imaging)で行います。脊髄神経が強く圧迫されて、麻痺や感覚障害などの神経症状を呈して日常生活に支障を来している場合は外科的治療の適応となります。神経を圧迫している成分の除去が主な目的です。

頚椎椎間板ヘルニア
頸椎椎間板ヘルニアとは、首の骨(頸椎)の間にあるクッション(椎間板)が飛び出し、神経を圧迫することで、首・肩・腕の痛みやしびれ、筋力低下などを引き起こす病気です。原因には加齢や姿勢不良などがあり、長時間のパソコン作業やスマホの使いすぎで発症しやすくなります。治療には、薬物療法やリハビリなどの保存療法が中心ですが、症状が重い場合は手術が必要になることもあります。

疾患と治療法1〜頚椎症
頚椎椎体の皮質骨が突出し、脊柱管や椎間孔が狭窄することにより、神経が圧迫されて、脊髄症や神経根症を引き起こします。神経を圧迫している狭窄成分を外科的に削除し、神経の正常な働きを回復させます。

疾患と治療法2〜椎間板ヘルニア
脊椎の椎体間の椎間板成分が突出してきている場合に、治療適応となります。頚椎では前方から椎間板を切除します。胸椎・腰椎では後方から椎弓を切除して、脊髄の横から椎間板を切除します。いずれも、人工椎間板(ケージ)を挿入して脊椎の安定性を確保します。

疾患と治療法3〜脊柱管狭窄症
後縦靱帯や黄色靱帯が肥厚して脊髄を圧迫しています。頚椎後縦靱帯は前方から椎間板と肥厚した後縦靱帯を切除します。腰椎の場合は後方から椎弓を切除し、肥厚した黄色靱帯を切除します。いずれも、脊髄の周囲の空間を広げて、神経の除圧を図ることが目的です。

疾患と治療法4〜すべり症
主に腰椎の椎体が上下でずれ、脊柱管が相対的に狭窄して腰髄を圧迫しています。椎弓を切除し脊椎のずれを補正するようにして、スクリューで固定します。

疾患と治療法5〜脊髄腫瘍
後方から椎弓を切除して脊髄を露出し、神経を圧迫している部分の腫瘤を切除します。硬膜内の腫瘤の場合は、硬膜を切開し、脊髄神経から剥離して摘出します。髄膜腫や神経鞘腫などがあり、発生母地も適宜切除します。
