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下肢静脈瘤の初期症状としては、まず足の血管(静脈)が膨らんで目立つようになり、次第に足のむくみ、だるさ、かゆみ、こむら返り(足攣り)、色素沈着等多彩な症状を引き起こします。その程度は人によって様々です。放置してしまうと…膨らんだ血管の中に血の塊が詰まって炎症を起こして強い痛みを伴ったり(血栓性静脈炎)、皮膚炎を起こして潰瘍のようになってしまうこともあります。比較的太い静脈がボコボコと拡張する伏在型静脈瘤、伏在型よりやや末梢寄りの細い静脈による側枝型静脈瘤の他、非常に細い血管が網の目状やクモの巣状に拡張する網目状静脈瘤、クモの巣状静脈瘤があります。

 

 

 

原因と発症リスク

足から心臓まで上っていく静脈内の血液が重力に従って逆流を起こして古い血液が足にたまってしまうことが原因です。本来は逆流をしないように弁というフタが付いていますが、この弁が壊れてしまうことで静脈瘤が引き起こされます。また、発症リスクの高い人としては、立ち仕事の方や妊娠を経験された女性の方、ご両親のどちらか、あるいは両方が静脈瘤に罹患されている方もハイリスクとされています。気づくためのコツ(自己診断)としては、立っている状態が最も足の静脈が膨らんでいますのでふくらはぎや膝の裏あたりを触ってみましょう。通常起床後は最も症状が軽く、夕方になるにつれて症状は強くなります。

 

 

 

静脈の瘤化と検査方法

下肢静脈瘤の原因は静脈の中にある逆流防止弁が壊れることです。逆流防止弁が壊れると、血液が逆流を起こして滞り、血管が拡張・蛇行してきます。問診や診察で下肢静脈瘤の存在がわかります。診断をつけるために静脈エコー検査を行います。エコー検査では静脈血流の逆流の有無を確認します。また静脈内に血液の塊(血栓)ができていないかを調べます。

 

治療法01〜弾性ストッキングの着用

下静脈瘤に行う基本的な治療法。履くのは少し大変ですが症状は改善し、病気の進行も抑えることが出来ます。ただし根治を目的とした治療ではありません。

 

 

治療法02〜高位結紮術と硬化療法

高位結紮術とは、逆流している静脈の根元を糸で縛るだけの手術です。再発が多く今ではあまり行われていません。硬化療法は、手術を行うほどでもないような細い小さな静脈瘤に行います。接着剤のようなものを静脈瘤の中に注射します。日帰りで行う治療です。

 

治療法03〜ストリッピング手術

以前は最もスタンダードな治療でした。2cm程の傷から逆流の原因となっている静脈を切り離して抜去します。

 

 

治療法04〜レーザー治療

逆流の原因となっている静脈をレーザーの熱で焼灼します。ストリッピングと同じく、焼いても他に正常な静脈がたくさんあるため問題はありません。北斗病院では適応があればレーザー治療を第一選択として行っています。レーザー治療は血管内の逆流の原因となっている静脈を焼いて潰してしまいます。焼いた静脈の中には血液は通らなくなりますので逆流は消失し、通れなくなった血液は他の正常な静脈を通って心臓まで戻ります。ただし、静脈が膨らんでいる所はそのままでは残ってしまうため、2~3mm程のごくごく小さな傷口から摘出(静脈瘤切除術)します。

 

 

治療法05〜静脈瘤切除術

この治療法は侵襲が少なく安全性が高い治療であり、2cm程皮膚を切らないといけないストリッピング手術と同等の治療効果が得られます。治療中に痛みを感じることなく精神的負担の少ない全身麻酔を第一選択とし、入院期間は2泊3日で行っています。また入院期間を短くされたい方には1泊2日など可能な範囲で相談に応じています。

 

 

 

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