消化器外科全般を診療します。専門の膵がん診療は、これまで培った基礎研究の応用や、新規治療の取り組みをおこないます。患者さんに寄り添い、一針入魂で手術に臨みます。
出身
旭川医科大学(1996年卒業)
日本消化器外科学会指導医・専門医・消化器がん外科治療認定医・評議員
日本肝胆膵外科学会高度技能専門医・評議員・技術認定委員(膵臓)
日本膵臓学会認定指導医・評議員
日本外科感染症学会評議員
ロボット支援手術(da Vinci)certificate取得(術者)
1996年 6月 函館中央病院外科
1997年 6月 手稲渓仁会病院外科
1998年 6月 恵佑会札幌病院外科
1999年 6月 北海道大学医学部第二外科
1999年10月 名寄市立総合病院外科
2000年 2月 北海道大学医学部第二外科
2000年 6月 手稲渓仁会病院外科
2001年 6月 東京大学医科学研究所
2004年 9月 MD Anderson Cancer Center
2007年 9月 手稲渓仁会病院外科
2012年 4月 北海道大学消化器外科学教室Ⅱ
2025年 4月より現職
膵臓がんの9割は無症状
膵臓は脂肪や蛋白の消化を担い、インスリンなどを血中に分泌し血糖も調節します。膵臓は大動脈や上腸間膜動脈が近接し重要な臓器に囲まれ発見が遅れがちです。症状は黄疸や糖尿病の悪化、体重減少などですが9割近くは無症状です。このため早期発見が難しく診断時に既に進行しています。
日本では年々膵臓がんの死亡者数の順位が上昇しています。特に帯広を含めた十勝地方は膵臓がんが多い地域です。


膵がんの手術
膵頭部がんでは膵頭十二指腸切除を行いますが、膵頭部、十二指腸、胆嚢、肝外胆管、胃の一部、空腸の一部と切除範囲が大きく、食物や消化液の道を作り直す(吻合再建)必要があり、手術は6~12時間を要します。膵臓と空腸の吻合は難しく外科医の腕の見せ所です。他に胆管と空腸、胃と空腸を吻合すると再建が完成します。一方、膵体尾部がんでは膵体尾部と脾臓を切除するのみで、手術時間も3~4時間と短く済みます。
進行した膵臓がんに対する血管合併切除術
膵臓は周囲に重要な血管が多く、がんの進行とともに腫瘍が重要な血管を巻き込んでしまうことも少なくありません。このような場合、手術は難しいと判断して薬物治療や放射線治療を行う医療機関もありますが、当院では膵臓の切除とともに血管合併切除再建術を用い、可能な限り手術でがんを根治させることを目指しています。

コンバージョン手術
切除できない膵がん、化学療法改善後に手術
切除不能膵癌の治療は化学療法が主体となります。3種類の薬剤を投与するFOLFIRINOX療法やゲムシタビンとナブパクリタキセルの併用療法で、膵がんの治療成績は徐々に向上しています。化学療法の効果があれば1年前後の予後延長が期待できますが、良く効いた場合(奏功例)でも手足の痺れや骨髄抑制で治療の継続は2年ほどが限界とされます。最近は奏功例に手術を行うコンバージョン手術が期待されています。コンバージョン手術には下記の条件が必要です。
条件その2 治療で腫瘍が小さくなりその状態を保っている(明らかな進行がない)。
条件その3 遠隔転移が消えたか、約3個以下にコントロールされている。
コンバージョン手術(Conversion Surgery)とは
初診時に切除不能と診断され、化学(放射線)療法を施行し、
一定期間、病状の縮小や安定した効果があり、
手術治療に方針を変える(Conversion)こと。

コンバージョン手術による血管合併切除と血管再建の一例


術後の約半数が5年生存

