医師臨床研修(初期研修)Doctor training

臨床研修プログラム責任者からのメッセージ

臨床研修センター
センター長 金藤 公人

 私が研修医であった30年ほど前と比べると、研修制度や専門医制度もずいぶん様変わりしましたし、医療を取り巻く環境も年々変化しています。それでも「初期研修で何を学んで欲しいか?」と問われれば、「時代が変わっても変わらない、医者として変わってはいけないこと」を学んで欲しいと答えます。医者のマインド、医師の医師たるidentityのようなものを初期研修の皆さんに伝えられれば良いと思っています。

 長い医師人生の上で、かけがえのない最初の2年間を縁あって当院でスタートするならば、基本的な医学知識や手技などを習得してもらうことはもちろんですが、それ以外のもっと普遍的なものをしっかり身につけて頂きたいです。手技を他の研修医より少し早く覚えたからといって、自慢できるのは仲間内でのごく短期間だけです。どんな領域でもそうですが、「心、技、体」の3つを会得してこそ、達人になれます。医師になる皆さんは原則「勉強が得意」な人たちですから、基礎となる知識の習得やupdateすなわち「体」を磨いていくことはさほど苦痛ではないでしょう。しかし医師という仕事はそれだけではやっていけません。「技」の部分、すなわち手技、テクニック、専門的知識の習得は、専門分野をみつけてから深めれば良いので、なにより最初の2年間で皆さんに習得してもらいたいのは、「心」の部分です。
 聖人君子のように清く正しく滅私奉公しなさいというわけではありませんし、かく言う指導医たちも、そんなに人間が出来ているわけではありません。ある面は反面教師として、ある部分は見習って自身の「医師としてのスタイル」を確立していく一助になれれば良いと思います。「三つ子の魂、百まで」ではないですが、こういったものは、最初の2年でかなり確立されます。品格のある「医療人」になれるよう共に修練したいと考えています。

  1. 患者がどんな思いでいるかを慮り、相応の覚悟や責任を持ち診療にあたる
  2. 病気だけ診るのでなく患者を診る~詳細な観察と同時に常に全体を俯瞰する眼を持つ
  3. 自然に抗っても仕方がないと医療の限界を知り、謙虚な気持ちを持ちながらも、可能な限り医療や科学の力を駆使して患者さんに寄与する
  4. 自分自身で解決できないなら、文献など先人からの情報や他人の意見に謙虚に耳を傾け、「患者さんにとっての最良」は何かを一番に考え、貪欲に知識や情報を収集する
  5. 医療界の指揮系統の頂点に立つ自覚と責任を持って、関わる人たちを的確にリードする

 地方にありながら、世界に通用する先進医療や研究にも挑戦する北斗病院は、ありきたりの研修施設とは異なり、自分にあったテーラーメードの研修ができる柔軟性もあります。
 関西から移住して10年以上経つ私でも、未だに魅了される「北海道」を満喫しつつ、有意義な2年間を一緒にenjoyしましょう!

我々の初期研修の臨床研修プログラムの特徴は以下のとおりです。

  1. 個々に応じた柔軟性のあるプログラム
    当院は全科が揃った大病院ではなく、中規模の社会医療法人で、在籍初期研修医数も10人未満ですので、きめ細やかな指導が出来、自由選択の幅が広く、将来を見据えた個々のプログラムを柔軟に編成可能です。
  2. 地域医療と先進医療の両方を経験
    当院は急性期から慢性期まで一貫して、先進医療、予防医療、在宅医療を3本柱に、地方にありながらも日本や世界をリードする先進医療を見聞できる一方、法人傘下の施設以外にも、広い医療圏を有する北海道ならではの地域医療研修も可能です。
  3. 「手の動く医者」を目指す多数の手技研修
    外科系の指導医が多いこともあり、どんなことでも「やってみる」実践型の研修を行っており、他施設に比べて、1人1人の研修医がさまざまな手技の習得が可能です。
  4. へき地(遠隔地)医療の現状を学ぶ
    北海道には少し離れると半径100kmという本州では考えられないスケールの医療の現実があります。ここでしか学べない地方の医療の現状とそれを克服する工夫を学んでください。
  5. 国際的な見地に立った医療の展開
    ロシア・ウラジオストックでの医療事業も展開していますし、中国からの研修生を受け入れて、すでに当院から10名程が日本の医師として働いているなど、国際的な素地があり、学閥にとらわれず、全国から研修医が集う病院です。

臨床研修センター長・プログラム責任者 金藤公人(脳神経内科・副院長)