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特集 十勝で注意したい冬の転倒と硬膜下血腫

頭をぶつけたあと、こんな変化はありませんか?
北海道・十勝地方は、自然が豊かで暮らしやすい地域である一方、冬になると路面の凍結や積雪により、転倒事故が非常に多くなります。特に高齢者では、わずかな転倒や「ちょっと頭をぶつけただけ」の出来事が、脳の病気として現れることがあります。その代表が打撲直後に現れる「急性硬膜下血腫」と数週間から数か月後に現れる「慢性硬膜下血腫」です。今回の特集では、十勝で暮らす皆さまにぜひ知っておいていただきたい、頭部打撲と硬膜下血腫について、できるだけわかりやすくご説明します。

気をつけていても転んでしまう?

冬の十勝は転倒リスクが高い地域です。十勝地方の冬は、朝晩の冷え込みによるブラックアイスバーンや、日中に溶けて夜に凍るつるつる路面が特徴です。自宅前やスーパーの駐車場、横断歩道など、慣れた場所でも思わぬ転倒が起こります。高齢になると、筋力やバランス能力の低下、反射神経の衰え、視力の低下、血圧の薬や睡眠薬の影響などにより、若い頃より転倒しやすくなります。「転ばないように気をつけていても転んでしまう」のが現実です。

頭をぶつけたときに起こる「硬膜下血腫」

頭部打撲のあとに起こる病気の一つが硬膜下血腫です。これは、脳を包む膜(硬膜)と脳の間に血がたまる病気で、「急性」と「慢性」の2種類があります。

 

●急性硬膜下血腫〜頭をぶつけた直後に発症
●慢性硬膜下血腫〜頭をぶつけた数週間から数ヶ月後に発症
急性硬膜下血腫とは
急性硬膜下血腫は、転倒や事故の直後から数時間以内に症状が現れることが多く、命に関わる重い状態です。冬道での転倒や交通事故等、かなり強い力で頭部に衝撃が加わったときに脳の表面の静脈が切れたり、脳挫傷という脳の打ち身が原因となって発症します。

 

主な症状
●意識がもうろうとする ●呼びかけても反応が鈍い ●強い頭痛 ●吐き気・嘔吐●手足の動きがおかしい ●けいれん
上記のような症状がみられた場合は、すぐに救急車を呼ぶ必要があります。

高齢者に多い「慢性硬膜下血腫」

慢性硬膜下血腫は、高齢者に特に多い病気です。転倒して頭をぶつけてから数週間〜数か月後に、ゆっくり症状が出てきます。「転んだのは覚えているけど大したことはなかった」「頭は打ったけど病院には行かなかった」というケースでも発症することがあります。

慢性硬膜下血腫の症状は気づきにくい

慢性硬膜下血腫の怖いところは、症状がゆっくり進むことです。これは、軽い頭部打撲(転倒など)をきっかけに、脳と頭蓋骨の間に血液がゆっくり溜まっていくのが原因で、頭を打った時から時間が経過して発症することがあります。本人はもちろん、周囲の家族等が日常の変化に注意を払うことも重要となります。

 

慢性硬膜下血腫の検査と治療について

診断にはCT検査やMRI検査が行われます。慢性硬膜下血腫と診断された場合、多くは小さな穴をあけて血を抜く手術で治療できます。手術後、歩行や認知機能が改善する方も少なくありません。

 

CT画像で見る硬膜下血腫

頭部打撲後に頭痛や歩行困難で受診された患者様の頭部CT画像です。脳の表面に三日月型のスペースがみられ脳(灰色)は中心部に圧迫され変形を伴っています。この脳の変形が手足の麻痺症状に関係しています。

 

穴を開けて血腫を排出〜外科治療

慢性硬膜下血腫に対する外科治療の様子。頭蓋骨に10円玉程度の穴をあけて、貯留した血液と混じった脳脊髄液でソースのような色をした血腫を吸引・排出させます。
❶血腫がある上の箇所を30mmほど切開し頭蓋骨を露出。 ❷ドリルで頭蓋骨に約20mmほどの大きさの穴を開ける。 ❸硬膜に穴を開け、脳を圧迫していた血腫を排出。 ❹血腫の排出後は硬膜内にドレーンを留置。残留した血腫を体外に排出。

 

 

冬の転倒後、こんなときは受診を

 

転倒を予防することも大切です

転倒予防も大切です。滑りにくい靴や靴底の使用、玄関・階段の手すり設置、冬場の外出時は無理をしない、家族や周囲が変化に気づく、などが挙げられます。十勝の冬を安全に過ごすための工夫が、命と健康を守ります。

 

「様子を見る」より「一度相談」が大切

転倒は誰にでも起こります。特に高齢者では、時間がたってから症状が出る病気があることを知っておくことが大切です。「歳のせい」と決めつけず、早めに医療機関へ相談しましょう。

 

Q&A よくある質問

Q1:高齢でも手術は可能ですか?

慢性硬膜下血腫と診断され「頭の手術」と聞いて不安になる方が多くいらっしゃいますが、この病気の治療は、脳の手術の中では比較的体への負担が少なく、高齢の方でも受けられることが多い治療です。

Q2:手術の時間と入院の期間は?

頭蓋骨に小さな穴を開け、溜まった血を外に出す手術で、脳自体を切ることはありません。また1時間程度で終わることが多く、全身麻酔ではなく、体への負担が少ない方法で行われることもあります。手術後は数日から1週間程度の入院で済む方も少なくありません。

Q3:術後の変化は?

血腫を除去し、脳への圧迫が無くなったことで「歩きやすくなった」「反応が良くなった」「会話がはっきりした」など、症状が改善する方が多いのが慢性硬膜下血腫の特徴です。「認知症と思っていた症状が良くなった」というケースもあります。

Q4:薬だけで治ることはありますか?

血腫が小さく症状が軽い場合、手術をせずに経過観察や薬で様子を見ることもあります。その時は五苓散という漢方薬を処方することがあります。ただし、多くの場合は、血が自然に吸収されにくいため、症状がある場合には手術がすすめられます。

Q5:再発することはありますか?

慢性硬膜下血腫は、再発することがあります。そのため、手術後もしばらくは通院や画像検査が必要です。再発しても、早く見つかれば再度の治療で良くなることがほとんどです。

 

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脳神経外科 主任部長
脳卒中センター センター長
数又 研

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